2011年7月15日金曜日

あさちゃんへ

あさちゃん、暑中お見舞い申し上げます。

俺は自分の過去をなにもまとめることができません。

感情に降りてくる、いや、感情に登る、どちらにせよ好きな女の息づかいにさえ、その言動や仕草をも、恥ずかしくて見ていられないのだからここまでくるともう、愛だの恋だのもただの悪寒誘発絶句です。
ある瞬間に、この世の多くの者が追随できないであろう領域の思考発火に僕が炎上し、ああ、こんなにくだらなく熱い夏だ、そんな風に吐くとき、良くも諦めもせずにせっせと厚かましく人間面であろうとする他者どもの行為と発言と自意識のすべてがお盛んな赤子のように思えてしょうがないのです、けれど、こうしたまるで己だけがそこから遠くに居るのだと吠えて透明になろうと僕が企てるのなら、僕は僕を終えたい。

人間は破壊を猟期とみなし営み孕んで暮らす、激情を酒の肴にする、僕の怠情も恋心もそうした席のかっこうの餌になってしまうのだろうな、それも僕が僕を酔わすために自らを肴にするのですから、これはいけません、けれども、ちょっとだけコーヒーの缶に向かって恥ずかしいと微笑む事しかできません。

現世において女を語ることに至っては他の者などはほんとに屑にしか過ぎない。
俺に愛されずに、俺の言葉をもらえない表現者である女の子たちはなんてかわいそうかと思う。
そうした言動が血の内部で騒ぐときがいちばんに悲しくなる時です。
いかん、発作だと命を伏せる。
そのくせ、もっとも語りたい女には言葉を根こそぎ命ごと奪われつづけているのだから滑稽であり狸の死に真似の如く野蛮な敗北です。

僕がとうのむかしに与えてやった視点器官をどうにか自分なりにその子を見つめる顕微器官に移植し乱暴に操作して言語を展開しているようにしか見えない時に、
では、彼女はおまえにどんな新たな領域を与えたのか、そう自問自答するのですが、この女のために産まれた視点であれ、感情であれ、その立証に、確信を、魂をもって高らかに宣言する事なども最早できないのです。

この女を愛してできた傷である、そう肉体に愛したという烙印が消えない傷のように点々と蠢いていたのならば、どれだけ救われるだろうか、この可視不可能な、女を見つめる器官、その痙攣や暴走の発端がどの女であるのかわからない状態に置かれている事に、ただ震撼し無理矢理にそのすべてを寸断させる事でそこから一瞬でも遠退いてゆける安堵を求めてしまいます。

かわいいと言うひとつの言葉をあらゆる言語に変換させ賛美の無限の言葉へと変貌させる錬金術を最早自分は湧かす事ができないという確信だけがずっと己のなかを支配します。
一言で申せば、つまらない、こんなにもつまらない女だったのかと拗ねてみせた所で、こんなにもつまらない僕だったのか、と喚きたいだけなのです。

歌い踊るという事によって彼女が彼女をついに発見し救出する事がそんなに感動的な事でしょうか、むしろ、彼女がそうした欲望さえも放棄し、彼女が、女の子ですらなく、舞に、歌に、なってしまっている時にこそ僕は歓喜していたはずだった、果たしてその事が一ミリも彼女の行為の真実をかすめていなくとも、僕にとってそう見えたという歓喜を優先していたのかも知れないだけなのに。
ひとたび、歌い踊る事を止めてしまえば、
感情に降りてくる、感情に登る、そうか、人の故郷とはあの静かに恐ろしい水平線ではなく、いつでも感情という太陽だったのかとがっかりするだけの日々です。

彼女が水平線に騎乗してみせた美しい肉体の嗚咽が優しく輝く感情太陽に寝取られるのだ。
僕は、愛する女に、おまえは真顔だけが美しいのだと云う。
こんなにも酷い言葉も無いでしょう。
つまりは僕はもう愛などこの世の誰よりも信じてはいないし、人間が発明したその兵器からいかに遠ざかれるかだけを夢見ている、
明日にもそのすべての案から離脱しかねない、あからさまな敵意だけを食らう男なのです。

けれども人間的な愛情行為だけが女に側近する唯一の法でしょうか。
あからさまな敵意をもっておまえを見つめる唯一の男の生存。

しかしこの夏はなんてくだらないんでしょう。

光も風もこの世の一切が阿呆だ。


その事だけは確かなようです。

僕は彼女のなかに白夜を照らしたい、
「君だけはこのおぞましさのなかで美しい。」


「俺は君がこれから静かに強く洩らしてゆく「女の子」にボロボロにされるんだ。」



「うれしいよ。」



「うれしいよ。」





「改行、改行使えば君にも伝わるのかな。」


「改行、これでいい?、寂しさが悲しさがうれしさが伝わるかな?、」



「ねえ、







こんな風に俺はだめになってゆく、」







「君の美しさを心臓にたたきつけて」


「俺は君を愛したいと思った。」

あさちゃん、僕は彼女にこの先、なにが言えるでしょうか、俺はなにが書けるのでしょうか。

自己紹介

Dear Morning Musume。 君のキャワキャワをキャッチだぜ!