2010年6月29日火曜日

6/29

沈んでしまう身勝手な夕日を美しいだなんて君が言うなら、僕にもそう思える気がした。
舞台を終えてもいない君に僕は、フランスのライブの事を話そうとした。
僕は君へ暴力だけしかあげられない気がして顔を蒼く赤くして逃げ出してしまった。
花束のナイフで近寄った僕が君の瞳の風にかわされて。
その事がうれしいだなんて思えない愛で君を想ってる事に気づいたら、ただ、ただ、僕は恐ろしいはじまりを祝った。
ごめん、ほんとうに愛してしまった。
誰よりも静かに救わなければ消えてしまうような日々の歓喜を伝えていてくれた小さな女の子が、れいなちゃんが、身を潜めるように沈黙していた、あの子のだからこそずっと大きくきこえてくる強い命の鼓動の音に、僕はどうする事もできなかった、れいなちゃんの沈黙だけが乙女の爆音だった。それは絶対の恐怖だった。なによりも恐ろしい事だった。毎秒死んでゆくようだった。けれども、それさえ僕には他人事だってわかってしまった事がいちばん辛い事だった。僕にはいつも愛する娘。がひとりだけしかいない事が。僕はすぐに自分の悲しみを青年の悲しみで掻き消した。彼にはれいなちゃんがどこかに生きている事はわかっていた。テーブルのうえのコップの水滴にれいなちゃんの鼓動が微動していた。彼の鼓動が彼にきこえなくなるくらいに大きく。
れいなちゃんを愛する青年を僕は知っているから、れいなちゃんと呼ぶその声がずっと深く、音楽みたいにきこえていた。
この世のすべてがれいなちゃんを呼んでいた。
健やかでいろって言っただろ、胸の小ささなんて気にしちゃいけないよ、僕はれいなちゃんに呟いていた。

大きな倉庫の店へ彼女が休日に行ったと知れば、大きな容器を抱える彼女のかわいさを影に追いやってまで、ただそれだけで、恋をしてるのなら。。だなんてすぐに僕は言ってしまうから、「私のまえから突然消えてしまわないで」って歌声をそのまま僕は女の子たちに願ってしまっていた。
僕は、僕は、かろうじて、いつも、いつもかろうじて、君たちを愛せていた。
いつでも突然に君たちが去ってしまえる事を知っていたのに、僕はなにも知らなかった。

沈黙を破ったのはあの子が自分の名前を僕らに今一度唱えた声だった。
あの子の名前は、そうだ、そうだった、かわいいひらがなのなまえ。

その瞬間、なんとか時間がまた動きはじめていた、娘。たちの季節と俺たちの季節が、また動きはじめた。
いつでも脆いんだ、こんなにも脆いんだ、いつ壊れてしまってもおかしくない愛情でずっと乗り越えてきた。
それらの愛だけがいつ壊れるかもしれない事と引き替えに危うく輝くことができていた。

微笑んだわけも、涙をながしたわけも、怒ったわけも、黙ってしまったわけも、それでも、お話してくれたすべての些細なお話しも、君たちが話してはくれない永遠に知れない事も君たちが話してくれて永遠に知ってしまった事も、なにもかもを、君たちのなにもかもを、ただ、愛せるように、愛しているって事も忘れてしまう温度で、あたりまえのように、息づくように、息をするみたいに愛せたらいい、

パリの舗道で足並みを揃えて行進しなよ、乙女の悪戯で踊る君をきょうも誰かが奇跡を見つけるみたいに見つけるだろう、君を。
塞いで赤く透ける日の空を君が綺麗だなんて言うからこの世界は壊れたりなんかしないんだよ。
愛ちゃん、素敵だ、夏がやってくる、愛ちゃん、また会えますか、また魅了してくれますか、愛ちゃん、行ってらっしゃい、そして、異国の青年たちのもとから帰っておいで、ずっと素敵になって、たった数日でいちだんときょうよりもずっと素敵になって、

自己紹介

Dear Morning Musume。 君のキャワキャワをキャッチだぜ!